昨今、様々なお風呂が楽しめるスーパー銭湯が人気です。また、日本は全国各地にたくさんの温泉が湧き出ているため、温泉巡りが大好きという人も多いでしょう。旅先ではわざわざ温泉のある旅館を宿泊施設に選ぶ人も少なくありません。とはいうものの、だれが使ったか分からないお風呂イスに腰かけ、サウナのベンチに座ると、もしかして性病の人が座っていたとしたら、自分にも移るのではないかという心配が頭をよぎるのではないでしょうか。温泉や銭湯というリラックスすることが目的の場所で、性病の不安を感じずにお湯に浸かることを楽しむためにはどうしたらいいのか、前もって知っておくと安心です。
銭湯や温泉では移る病気が限られてくるのが特徴
トイレの便座などでは、様々な種類の性病に感染してしまう可能性が高いのですが、銭湯や温泉では移る性病の種類は限定されます。過去に実際に感染したとして報告されているのが、淋病と性器ヘルペス、膣トリコモナス症があります。さらに、2000年以降患者が再び増えているという梅毒や、性病で最も怖いとされているHIV感染症も除外できません。こうして挙げてみると、かなり多いという印象を受けますが、実際には性病にはもっとたくさんの種類がありますので、かなり限定的と言えるでしょう。また、性病の種類によっては、感染を回避できる可能性がかなり高いものも含まれてきます。その理由は、銭湯や温泉では、感染する経路がある程度特定できるからです。
銭湯や温泉での性病感染経路とは
基本的には、性病を引き起こす菌が銭湯やお湯の中を漂っていて、お湯に浸かることで感染してしまうということはあり得ません。そのため、お湯に浸かることそのもので、性病にかかる心配をする必要はないと言えます。そうなると、感染しそうな原因はおのずと決まってくるでしょう。大勢が共同で使い、どんな病気を持っている人が使っていたかが分からない、さらに、温泉や銭湯でタオルが用意されている場合、性病の人が触ったタオルを使ったことによって、性病が移ってしまうということもしばしばあります。タオルとイスは、温泉にしろ銭湯にしろ、入浴するにあたって不可欠なことから性病が移らないか心配でしょうが、逆を言えばこの2つに気を付けることで、感染のリスクをかなり減らすことができると言えます。
タオルは持参、イスはしっかり洗い流すのがポイント
湯舟に張られているお湯にしろ、蛇口から流れるお湯にしろ、お湯から性病に感染する可能性はありませんので、タオルは備え付けのものは利用せず、自分で洗濯し、性病をもたらす菌が付いていないと確信できるものを使うことです。イスに関しては、使用する前にシャワーで熱いお湯をかけることによって、仮に菌が付いていたとしても洗い流されていきますので、気になる人はこれでもかと徹底的に洗い流すのが良いでしょう。
究極の選択として、イスは使わないという方法もあります。いずれにしても、お湯からは感染しないことがハッキリしている以上、それ以外の可能性をできるだけ取り除けば、温泉や銭湯での性病感染にはさほど神経質にならなくて大丈夫です。
梅毒とHIVは温泉の外での対処が重要
梅毒とHIVも温泉や銭湯で感染する可能性があると先に述べましたが、この2つは温泉や銭湯でお湯に浸かっているときや洗い場で気を付けるべきというよりは、お風呂から出たあとに注意が必要な性病です。梅毒の菌は、体の外に出るとすぐに死滅してしまうため、温泉や銭湯で感染する可能性は限りなく0に近いと言えます。
HIVに関しても、感染させるほど強いHIVウイルスを含んでいるのは、感染者の精液や膣分泌液、さらに血液と母乳です。これらは温泉のお湯の中では感染する最大要因である濃度が薄れてしまうことから、HIVもお湯の中や浴室の中では心配する必要がないというわけです。ただ、梅毒にしろHIVにしろ、皮膚や粘膜にある傷から感染し、移ってしまいますので、男女ともにカミソリを使うことや口腔内に傷を作る可能性がある歯ブラシなどはできるだけ使わないようにするのが良いでしょう。
例外の性病も
ほとんどの性病の原因となる菌は、お湯の中では死滅するか感染力が衰えますので大丈夫ですが、女性に多い膣トリコモナス症は例外として注意が必要です。それというのもトリコモナスはもともと感染力が強く、乾燥には弱いものの湿った環境の中では生き残れるからです。そのため、濡れたタオルや下着に付着して感染する可能性があり、厄介と言えます。
見知らぬ人が大勢利用する銭湯や温泉で全裸になってお湯に浸かり、浴室の洗い場を利用するとなると、もしかして性病に感染するのではないかと心配するのも無理からぬことです。ただ、お湯に入ることそのものが性病感染の原因ではなく、それ以外の要素にあると知っておくことで、ある程度対策を採って、安心して入浴できると言えます。